久保田 しおん(Shion Kubota)

久保田 しおん(Sh...
プロフィール
1997年生まれ。東北大学客員准教授。
マウント・ホリヨーク大学にて学士号(物理学・哲学)を取得後、ハーバード大学 大学院にて博士号(物理学)を取得。素粒子物理学者として、現在は米国ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)のフェローを務め、次世代ニュートリノ実験DUNEに向けた検出器開発やデータ解析に従事。ニュートリノを通じた宇宙の根源的理解と、極低温環境での高精度検出システムなど先端計測技術の開発に取り組む。また、日本科学未来財団の理事として科学コミュニケーション活動にも注力し、講演・執筆・メディア出演等を通じて基礎科学の魅力を社会へ発信している。
主な実績・採択歴
2025年 Forbes Asia「30 Under 30」選出
2024年 MIT Technology Review「Innovators Under 35 Japan」選出
2024年 CPAD「Graduate Instrumentation Research Award (GIRA)」Runner-up 受賞
TOEFL「Creating Leaders for 60 years award」受賞
ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)「SPOT award」受賞
ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)「Owen Chamberlain Fellow」採択
アルゴンヌ国立研究所「Maria Goeppert Mayer Fellow」採択
グルー・バンクロフト基金「奨学生」採択
江副記念リクルート財団「学術部門奨学生」採択
孫正義育英財団「奨学生」採択
「三井みらいチャレンジャーズ」採択
研究題目
極限環境対応型粒子検出システムの研究
研究キャッチコピー
ニュートリノ観測技術の研究開発を通じて宇宙の理解を深めるとともに、極限環境で活用できる新たなセンシング技術の創出を目指す。
研究ビジョン
ニュートリノは、太陽や宇宙の激しい天体現象、地球の大気、さらには原子炉や核融合施設などから絶えず放出されている素粒子です。物質との反応断面積が極めて低いため、観測が非常に困難である一方で、光では見ることのできない宇宙や物質内部の情報を直接運ぶことのできる特別な「メッセンジャー」でもあります。その性質には未だ多くの謎が残されており、現在も世界中で大規模な研究が進められています。
ニュートリノを観測するためには、「極限環境において微弱な信号を高精度かつ長期安定して計測する」という大きな課題を解決しなければなりません。私は、これまで、ニュートリノ物理学における次世代読み出し技術の研究開発に取り組み、現在は、人類史上最大規模のDUNE実験において、マイナス180°C近い極低温環境で動作する電子回路や、新たなピクセル型電荷読み取り技術の大型プロトタイプテストを主導しています。こうした極低温の検出器内部では、膨大な数のセンサーを動作させながら、極めて微弱な信号をとらえるための、高感度・低消費電力・高信頼性を兼ね備えた計測技術が求められています。
本研究では、こうした極限環境下での高信頼性電子回路や低消費電力計測技術をさらに発展させます。この技術は液体アルゴン検出器に限らず、水深3,000メートルを超える高圧環境に設置される深海ニュートリノ望遠鏡(KM3NeTやIceCubeなど)にも本質的に共通して求められるものです。さらに、これらの観測基盤は素粒子物理学のみならず、塩分濃度や海流、生物発光といった海洋科学の観測にも大きく貢献しています。ニュートリノの研究を基点として極限環境計測技術の限界を押し広げることで、人類がまだ観測できていない世界を測れるものへと変え、新たな知のフロンティアを切り拓いていきます。